病気について

診療する病気についておまとめしています。

風邪

風邪(かぜ)は、正式には「風邪症候群」といって、上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。

ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、以下の症状が起こります。

  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • のどの痛み
  • たん
  • 発熱

風邪(かぜ)を引き起こす主なウイルス

主な風邪(かぜ)ウイルス主な特徴
ライノウイルス風邪(かぜ)の原因の約30~40%を占めるのがこのウイルス。秋や春に多く、主に鼻風邪(かぜ)を引き起こす。
RSウイルス年間通じて流行するが冬に多い。乳幼児に感染すると気管支炎や肺炎を起こす場合がある。
パラインフルエンザウイルス鼻やのどの風邪(かぜ)を起こすウイルスで、子供に感染すると大人より重症になりやすい。秋に流行する型と春~夏に流行する型がある。
アデノウイルス冬から夏にかけて多い。プール熱の原因もこのウイルス。咽頭炎や気管支炎、結膜炎なども起こす。
エンテロウイルス夏に流行するウイルス。風邪(かぜ)の症状のほか下痢を起こしたりする。

風邪の治療について

風邪の治療風邪の症状に合わせて、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、うがい薬等を処方し、治療を行います。 発熱、頭痛、関節痛といった上気道以外の症状も確認されている場合は、解熱剤、鎮痛剤を処方します。

安静にし、治療薬を服用すること症状は改善されます。

糖尿病

糖尿病は、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。

重症になると血液中の糖が尿にあふれ出ることで甘い匂いがするのためその名がありますれます。

糖尿病の原因

糖尿病はその原因によって、4つに分類されています。

  1. 1型糖尿病
  2. 2型糖尿病
  3. 遺伝子異常、膵臓病、肝臓病などが原因の糖尿病
  4. 妊娠糖尿病

主な症状

2型糖尿病は、初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しづつあらわれます。

  • 疲労感
  • 皮膚が乾燥して痒い
  • 手足の感覚が低下する、または、チクチク指すような痛みがある
  • 感染症によくかかる
  • 頻尿
  • 目がかすむ
  • 性機能の問題(ED)
  • 切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
  • 空腹感やのどの渇きがひどくなる

糖尿病の治療方法(飲み薬)

(1)食後の血糖改善

初期には食後のインスリンの出が悪くなりますから、食後のインスリンの出 をよくする速効型インスリン分泌促進薬(スターシス、ファステック、グルファスト)、糖分の吸収をゆっくりにする薬=α -グルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル)が有効です。


(2)インスリンの効き目を良くする薬

ビグアナイド薬(グリコラン、メルビン、メデット、メトグルコ、ジベトス)は体重が増えにくく、筋肉や肝臓でのイ ンスリンの効き目を良くして血糖を下げます。ピオグリタゾン(アクトス)もインスリンの効き目を良くしますが、体重が増加しやすいので食事療法をしっかり 守ることが大切です。


(3)食前血糖も上がってきたら

膵臓に働きかけて食前もインスリンの出を良くする薬が必要です。スルホニル尿素薬(グリミクロン、アマリールなど)は膵 臓に働きかけてインスリンの出をよくして血糖を下げます。血糖値が正常に近くなってくると、食事時間が遅れたときなど血糖値が下がりすぎて、気分が悪くな る(低血糖)を起こすことがあるので注意が必要です。最近つかわれるようになったDPP―4阻害薬(グラクティブ、ジャヌビア、エクア、ネシーナ)は血糖 値が高い時だけインスリンの出をよくするという薬なので、単独では低血糖を起こしにくい特徴があります。

糖尿病の注射薬

 1型の糖尿病でインスリンが出なくなった時、2型でも高血糖で体調不良の時、肺炎や腎盂炎などを起こした時にはインスリン注射が必要です。
 2型でも高血糖が続くと膵臓のインスリンを出す細胞が疲れてきて一時的にインスリンが出ない状態になります(糖毒性)。このような場合はインスリン注射 で、膵臓を休ませてやると自前のインスリンがまた出てきて注射をやめることもできます。スルホニル尿素薬を飲んでインスリンの出を増やしても血糖値が高い 場合は、インスリンを追加して血糖値を下げることもあります。
 インスリンには効き目の時間によって、超速効から持効型まで、いろいろな種類がありますが、最近では製剤・注入器一体型の使い捨てタイプが主流となり使 い方が簡単になりました。針も細くて痛みもないので、注射を始めるために入院する必要はなくなりました。
 最近つかわれるようになったもう一つの注射製剤が、GLP―1受容体作動薬(ビクトーザ皮下注)です。インスリンそのものとは違い、血糖値の高い時だけ インスリンの出をよくするので、単独では低血糖を起こしません。1型の糖尿病などのインスリンを出す細胞が極端に減った状態では、効果がありません。食欲 を抑えて、体重が減る効果があるため、スルホニル尿素薬で体重が増えたり、血糖コントロールが良くならない肥満例に効果が期待できると思われます。

高血圧

血圧とは、血液が心臓から全身に送り出された時に血管の壁を押すときの圧力のことです。心臓が収縮することで発生します。そのため、高血圧など血圧の値は、血管の収縮程度やしなやかさ、心臓から送り出される血液量で決まります。
 
高血圧は収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上の場合、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の場合、あるいはこれらの両方を満たす場合と定義されています。心臓が収縮して血液を送り出す時に太い血管にかかる圧力が収縮期血圧、俗にいう「上の血圧」です。逆に拡張期血圧(下の血圧)とは心臓が拡張して緩み、血液を太い血管に送り出していない状態の時の血圧です。
高血圧は国内で、もっとも患者数が多い病気で、現在4300万人ほどの患者さんがいると推計されています。しかし、その中で適切に血圧をコントロール出来ている患者さんは、4分の1程度の1200万人ほどと言われています。残りの3100万人のなかには、高血圧でも無症状の事が多いため、自分がそうなっている事も知らない人や、知っていながらも治療を受けず放置している人もいると思われます。

原因

高血圧の原因としては、体質など遺伝的素因、塩分の過剰摂取や肥満など様々な要因が組み合わさる事で起こります。特に、高血圧では家族性の要因が60%程あるといわれています。これには、家族として似た生活環境(食生活、食習慣や運動習慣など)にあるという環境的要因と遺伝的要因の両者の可能性が考えられます。そのため、家族に高血圧の人が多いなどの家族歴がある過程では、小さい頃から家族ぐるみで高血圧の発症を防いだり、機会をみて血圧を測るようにするなどの血圧の確認が重要です。

収縮期血圧(上の血圧)が基準より高く、拡張期血圧(下の血圧)が正常の場合、動脈硬化が考えられます。血圧は、血管の弾力性が関係しており、動脈硬化が進むと、収縮期血圧は高くなるが、拡張期血圧は低いままの状態になるとされています。

拡張期血圧(下の血圧)だけ高いのは、末梢の血管は硬くなっているのに、大血管の弾力性はまだ保たれている人、多くは若い方に見られることが多いです。生活習慣の乱れによりこのようなタイプの高血圧になる若い方も多いですが、女性ホルモンであるエストロゲンが少なくなる更年期の方もこのタイプになることがあります。なお、年齢を重ね全身の動脈硬化が進むにつれ大血管も硬くなります。その結果、収縮期血圧は徐々に高くなり、それにともない末梢に送り出す血液量も減るため逆に拡張期血圧は低くなっていきます。

症状

高血圧は別名サイレントキラーと言われる様に自覚症状などがほとんどの人でありません。しかし、治療をせずにそのまま放置しておくと動脈硬化が進行して脳卒中や心臓病、腎臓病など重大な病気になる危険性が高まります。年間に10万人以上もの人が、高血圧が原因で亡くなっていると言われます。夜間頻尿、呼吸困難、早朝時の頭痛、下肢冷感やふらつきなどの症状を認める際は、高血圧により合併症の可能性もあります。そのような場合は、そのまま放置せず、受診などを検討ください。

治療

高血圧の治療には、内服治療だけではなく、生活習慣の是正も有効です。具体的には、肥満の予防や改善、塩分摂取の制限、節酒に加えて運動習慣や食事パターンを見直す事が有効となります。生活習慣の是正に関しては、何か一つだけ集中して行うという事ではなく、いろいろ組み合わせて行う事で効果が出てきます。生活習慣病の6項目(減塩、脂質、減量、運動、節酒、禁煙)を見直すことが大切になります。薬を始めた後でも、このような生活習慣の改善は有効なため、しっかりと取り組むようにしてください。

また、血圧管理をする際に、受診時の血圧だけではなく家庭内での血圧をコントロールする事が重要となるので、家庭血圧の結果を血圧手帳に記録し、受診時にしっかり伝えるようにする事も重要です。

高脂血症

高脂血症の患者さんは、住環境や食生活の変化などで年々増えています。
一般的に、高脂血症は高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症などを指します。

これら高脂血症や動脈硬化に関しては、それ自体では特に症状を認めません。
しかし、心筋梗塞・狭心症、脳梗塞などを発症するリスクがあり、これらの疾患を合わせた死亡率は、がんによるものよりも高くなっています。また、病気が発症した際に、後遺症などにより介護を必要としたり、生活の質を損なってしまうことも少なくありません。
そのため、症状が出ていない時期から動脈硬化などの予防や高脂血症のコントロールなどの治療を行う事が重要となります。

一般的な基準値

脂質に関する一般的な基準値は、

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)140mg/dl未満
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール)40mg/dl以上
  • トリグリセリド(中性脂肪)150mg/dl未満

となっています。

従って、これらの基準値の範囲から外れた際に、脂質異常症となります。ただし、総コレステロールに関しては、HDLコレステロールが高くても高値を示すため、一般的には異常の有無を判定する必要はありません。

治療

治療としては、生活習慣の改善や薬物療法などが重要となります。生活習慣の改善としては、食事療法、運動療法、禁煙、アルコール制限などがあります。

① 生活習慣の改善
  • 食べすぎや運動不足に注意し、適正体重の維持に努める。
  • 喫煙や受動喫煙などを出来るだけ避ける。
  • 鶏卵、肉の脂身、果糖を含む加工食品の大量摂取を控える。
  • 緑黄色野菜、魚、海藻、大豆製品などの摂取量を増やす。
  • 糖質の少ない果物などを適度に摂取するようにする。
② 食事療法
  • 総エネルギー摂取量に関して、自分の身体活動量にあった量になるよう調節する。
  • 脂質エネルギー比率や飽和脂肪酸エネルギー比率、コレステロール摂取量などを調整する。
  • 炭水化物エネルギー比を見直し、食物繊維の摂取を増やし、工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控える。
  • 食塩の摂取量やアルコールの摂取量を制限する。

当院では、栄養士による栄養指導も行っておりますので、気軽に相談ください。

③ 運動療法
  • 有酸素運動を中心に実施する。(ウォーキング、水泳、速歩、サイクリング、エアロビダンスなど)
  • 強度として中等度(通常速度のウォーキングに相当する運動強度)以上を目標にする。
  • 頻度、時間としては、毎日合計30分以上を目標に、少なくとも週に3日以上行うようにする。
  • その他にも、出来るだけ座ったままの時間を短くするようにし、運動療法以外でもこまめに歩くようにする。
④ 薬物療法

体の状態により、適切な内服薬を選択する必要があります。